診療科

乳癌

乳癌について

乳癌は日本人女性に最も多い癌であり、(罹患率1位)生涯に乳癌を患う女性は12人に1人と言われています。未だ増加傾向にあり、30年前と比較し乳癌で亡くなる方は約3倍になっています。乳癌は高齢になるとともに増える多くの癌とは異なり、30代から増加しはじめ、40歳代後半から50歳代前半にピークを迎え、比較的若い世代で多くなっています。

①診断

乳癌の代表的な症状は乳房や腋のしこり、乳頭や皮膚の変形(ひきつれ、陥没)、乳頭からの異常分泌です。皮膚や乳頭の変化を肉眼で観察、しこりの性状や大きさ、腋窩リンパ節腫大の有無を手で触って調べます。画像検査にはマンモグラフィ(乳房単純レントゲン撮影)・超音波・CT・MRIなどがあります。

マンモグラフィ 乳房をはさんでレントゲン撮影し、X線の透過性の違いから病変を発見する。腫瘤や石灰化・乳腺の構築の乱れなどから異常をみます。
超音波 超音波を使って、乳房組織の音波の跳ね返りの違いから変化を発見します。しこりの性状を判断するのに適しています。
CT/MRI 造影剤を静脈内に注射しX線や核磁気を使って乳房の断層写真をとり、乳房内部の造影剤の染まり方の違いから病変を発見します。乳がんの拡がりをみるのに適しています。

上記で乳癌を疑った場合には、実際にしこりに針を刺して実際の細胞や組織を採取し、顕微鏡で形態を調べます(病理学的検査)。

②治療

乳癌においては、乳癌治療ガイドラインに従った治療を提供しています。基本的な乳癌の手術は、乳房に対する手術と腋窩リンパ節に対する手術に分けられます。この二つの組み合わせにより手術法が決定されます。腫瘍の大きさと周囲への拡がり、乳房の大きさのバランスで切除範囲が決まります。また、乳房温存手術を行った場合、手術でとりきれたと考えられても、残った乳房に対して放射線治療が必要です。
腋窩のリンパ節に対する手術は、リンパ節に癌が転移しているか診断する目的と、リンパ節に転移した癌が進行し大きくなるのを防ぐ目的に行われます。腋窩リンパ節転移をおこす確率は、腫瘍が大きくなるほど増大することがわかっています。リンパ節転移の有無により、予後は大きく変わり、その転移の数が増えるにしたがい、将来転移・再発の危険が増大していきます。一方、術前診断で腋窩リンパ節転移がみられない早期の浸潤性乳癌の7割は、実際に手術してリンパ節を調べても転移が見られません。このような早期の乳癌に対して、腋窩リンパ節転移の診断のために腋窩郭清を行うのは後遺症のことを考えると過大な侵襲といえます。センチネルリンパ節は癌細胞がリンパ管に入り込み、最初に到達するリンパ節です。このセンチネルリンパ節に癌が見られない場合、そのほかのリンパ節に転移している可能性はほぼありません。そのため、術前診断で腋窩リンパ節に転移を認めない場合はセンチネルリンパ節腋窩郭清術がかのうとなります。
化学療法は乳癌の大きさとリンパ節転移の個数から、手術後の様々な抗癌剤・ホルモン剤・生物学的治療といった全身的治療が考慮されます。患者様の状態に応じ、エビデンスの高い最新、最良なものを提供しております。

③当院の乳癌治療の変遷

当院では年間約20~40件の乳癌手術を行っております。患者様に負担の少ない温存手術、センチネルリンパ節腋窩郭清術を積極的に取り入れております。